日頃感じていることをズバリ書いた記事があった。4/23、ロイターの「韓国サムスンが日本人技術者引き抜き加速、人材戦略弱い国内勢」である。ネットで読めるからアクセスすべきだ。
要するに、赤字で苦しむ日本の電機メーカーの技術者をサムスンが引き抜いているというものだ。サムスンだけではないだろう。日本企業が給与を引き下げ、またリストラで人員削減を行えば、優秀な人材ほど外部に流出する。かつて、日本の金融機関が味わった(今も味わっている?)状況と同じである。
何が転職の発端かというと、業績を向上さられず、興味ある仕事もなく、後ろ向きの仕事ばかりが増える企業であり、そんな状態に直面してもメリハリの付けられない経営であり、一律に近いコスト削減しか打ち出さない経営者である。そんな企業に居残りたいと思う人間は稀有だろう。再建する価値のある企業なら別だろうが。
現在の大学も、ひょっとしてこれに近いのではないか。
あまり知られていないが、今年度、大学に対する国の予算配分が大きく変わる。大震災からの復興対策と称して国家公務員の給与が2年間、7.8%カットされることが決まった。国立大学の教職員は純粋の国家公務員ではないが、それに準じているので、国から大学に支給される交付金(運営費交付金)が国家公務員の給与カット率に応じて削減される可能性が大きい。この結果、国立大学の教職員の給与もカットされそうだ。実際、4月からカットを開始した大学があるとのこと。
古手の教員はともかくも、若手の教員にとっては大変だろう。優秀な若手の教員であれば、私立大学や民間の研究機関、さらには海外への転職を目指す者も多いのでは。教育改革はもちろん、日本の技術力のアップが声高に叫ばれているのに、この国(政府与党)の政策は何なのだろうか。要するに政策が目先だけ追っていてちぐはぐであり、表面的な対応しかやっていない証明でしかない。
「ああ、日本はどこへ行く」である。
2012/04/25