2010年2月、南アフリカの上空からダイヤモンドの流れるオレンジ川を眺めた。オレンジ川はアフリカ第5位の川であり、下流は南アフリカとナミビアの国境である。では、流れたダイヤモンドの行方は。
オレンジ川を流れたダイヤモンドは国境の河口にたどり着く。そこで海と出会うわけだが、海には南極で冷やされたベンゲラ海流が流れている。このため、河口に流れ着いたダイヤモンドは北のナミビア側に溜まる。このダイヤモンドがナミビアの経済を支えてきた。
そもそもは1908年、海岸地帯で「光る石」が発見されたのが始まりである。当時は海岸でかなり取れたらしく、ダイヤモンドラッシュになったという。グーグル・アースを使うと、南アフリカとの国境から北の海岸沿いに砂を掘った形跡が無数に見え、鉱山の付属施設らしい建物も見つかる。
現在、この地域は立ち入り制限がされている。ダイヤモンドの採掘権がナミビア政府とデビアスの関連会社によって管理されているからである。侵入者が持ち帰った砂の中にダイヤモンドが混じっていたなんてことも生じうるから、当然なのだろう。許可を取ると、ガイド付きで立ち入れるそうなので、いずれ行きたいとも思う。もっとも、砂を域外に持ち出すことは禁止されていそうだが。
それはともかく、現在のダイヤモンドの採掘は海洋部に移っている。それもかなり深海にまで潜らないといけないらしく、潜水船を使っているという。砂浜にダイヤモンドが打ち上げられるのだから、海洋部にも多くのダイヤモンドが眠っているのはすぐに予測できるが、潜水船を使っても採算が取れるとは、さすがである。
とはいえ、やがてナミビアの海岸地域からダイヤモンドは消えるだろう。統計によると、採掘量は減少している。ダイヤモンドが消えた後はどうなるのか。今後のナミビア経済について研究してみたい。
2012/05/18