財務省が公表した5月の貿易統計によると、輸入超過が続いている。季節性(5月の輸出が連休の関係で少なくなる傾向)を調整したとしても、輸入超過額は昨年4月に次ぐ大きさだった。
季節調整した後の輸入超過額(輸出?輸入)は6572億円近くに達した。昨年4月の6971億円に次ぎ、今年3月の6347億円を超えている。
最大の要因は鉱物性燃料(原油や液化天然ガス)の輸入増加である。原発が完全に停止している影響が大きい。また、この鉱物性燃料の影に隠れて目立たないのだが、機械類の輸入も従来と比較して高水準を続けている。
他方、輸出の回復は頓挫しているように見受けられる。前年比で見ると増加率は高いのだが、その比較対象である前年は、大震災による混乱の最中の月である。この事実を考慮し、数字を眺めると、ヨーロッパやアジア向けの輸出がどうも冴えないように見える。
今後、一部で原発の稼働が再開するが、その効果は限定的だろう。一方、輸出環境の回復に大きな期待をいだくことはできない。以上から、輸入超過について、その金額は多少縮小するかもしれないものの、輸出超過に戻ることは少なくとも当面困難である。
2012/06/20