8月の貿易統計が公表された。繰り返しになるが、日本経済が自立できず、海外頼みであるかぎり、貿易統計、とくに輸出が日本経済の先行きを決定する。その輸出だが、減少が顕著となってきた。
アメリカ向け輸出は堅調である。春先ほどの勢いはないものの、前年比で1割以上の増加である。これに対し、ヨーロッパ向は前年比で2割の内外の減少が続いている。また、アジア向けも減少が明確になってきた。輸出は今年4月をピークに減少プロセスに入ったように思える。品目では、これまで前年比で増加していた乗用車がマイナスに転じた。建設用・鉱山用機械もマイナス幅を広げた。主要品目では金属加工機以外、軒並み前年比でマイナスである。
輸入もピークアウトした感がある。輸入量が減り、同時に単価も高値から下落している。このため、輸入金額はこの3ヵ月間、減少傾向にある。品目で見ると、鉄鉱石が前年比で2割台の減少、鉱物性燃料も減少に転じた。
輸出入の差額は、季節調整済値で赤字が続いている。春先よりも赤字幅は縮小しているようだが、依然として月間4000億円程度の輸入超過である。貿易段階での赤字が定着しつつあると想定しておくのがよさそうだ。というのも、足元で一次産品価格が再び上昇気味であること、原発の再開の見通しが不透明であること、輸出先であるアジアやヨーロッパの経済に冴えがないこと、中国向け輸出の先行きについて楽観できないこと等、いくらでも理由がありそうだから。
2012/09/20