川北英隆のブログ

ニッポン金融力会議って何

タイにいた時、「ニッポン金融力会議」なるものが日経の肝入りで発足したことを知った。その第1回目のシンポジウムが今日、開催されたらしい。三井住友、三菱UFJ、大和証券のトップが喋っている。
その内容をネットでざっと読んで感じた感想は1つ。日経の主催だから形式的かもしれないが、異口同音に個人資産が投資に向かう必要性を述べている。にもかかわらず、その意見が陳腐すぎる。
証券投資に関する記載を引用しておくと、三井住友の国部さんは「個人金融資産を投資に向かわせる必要性があると語った」、三菱UFJの平野さんというか君は「日本経済の活性化には約1500兆円の個人金融資産の有効活用が必要だと指摘・・運用支援に向けた取り組みを強化していくと語った」とある。大和証券の日比野さんは証券投資に関していろいろと喋っているので、ポイントを抜粋しておくと、「失われた20年を経て投資環境が劇的に改善した今こそ、証券投資に積極的になるべきだ」、「国内投資家の資金が株式市場に流入せず、東京市場が日本経済を正しく反映していない」、「日本株の割安さは際立つ」、「貯蓄から投資へのシフトを進める余地が大きい」、「配当税率や相続税の軽減などで個人投資家が株式を保有しやすくすることが重要だ」というところだろうか。
銀行の2人の意見は具体的でない。名前と年月日を伏せ、銀行が投資信託業務に参入した当初に述べた意見もしくは抱負だとして紹介したところで、誰も疑わないだろう。
一方、証券会社はいつもながらに市場に対して超強気であり、これも百年とは言わないまでも数十年一日のごとく、税制を何とかしろと言っているにすぎない。具体的に、自分はどうする、上場企業の経営はこうあるべきだとは述べずに、投資家が投資すべきだ、そのための税制はとしか主張していない。
この講演を聞き、一人でも「そうか」と悟って証券市場に向かうのだろうか。喋った本人達はどう思っているのだろうか。
3人の話を読んだ限りでは、日本市場から暗雲が立ち去る気配が一向に感じられないし、・・。これ以上書くと舌禍事件を起こしそうなので、今日のところはこれまで。
注:このブログは、みずほと野村証券のトップの講演要旨がアップされる前に書いた。

2012/10/03


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