10月17日、最高裁は参議院の一票の格差を「違憲状態」とした。2011年3月23日の衆議院に対する「違憲状態」判決と合わせ、異常な状態だ。この責任は、立法府と司法府の怠慢にある。
一票が一票の価値を持つ、これが大原則である。県という行政組織が、選挙区の割り振りがと、いろいろ抗弁したところで、それは自分達の怠慢を棚に上げた言い訳でしかない。国民の一番重要な権利に対して立法府がほとんど何の知恵も出さずにほっぽってきただけである。頭の黒いおっさん鼠らに(おばはん鼠も入ってるが)、祝儀でもらった酒の配分方法を決めさせるようなものだ。自分達で飲みながら配分方法を考えるのが手っ取り早い。どっかの募金であったような話だ。
司法府も怠慢そのものである。法律に一番精通しているはずの最高裁の裁判官が日和見してきたため、立法府が「どうせ大した判決は出ない」と司法府を見くびってきたにすぎない。自分達がコケにされ続けてきたものだから、ついに司法府も怒り、参議院を「違憲状態」としたのだろう。しかし、立法府のこれまでの怠慢続きを考慮すると、この判決でも甘いと言わざるをえない。いつか早い時点で「選挙は無効」の判決を出すべきだろう。
それはともかく、一票に格差があるため、社会の構造が歪められている。現在は都市部の一票の価値が軽く、地方の価値が重い。声の大きい者、すなわち地方を重視するのは、政治として当然の成り行きだろう。
まず、経済資源の配分が地方に厚くなる。地方に配分していけないと主張するつもりはない。基本は国の設計図をしっかりと描き、その上で地方と都市部への配分を決める必要がある。今の日本は、そんな計画なしに、声が大きいからという理由だけで地方に配分してしまっている。そこに大きな問題がある。
次は産業政策だろう。現在の一票は農業に手厚いのである。農業と、農業が寄って立つ国土が重要であることは理解できる。しかし、国技という名目で相撲協会を甘やかしてきたように、農業も甘やかされすぎ、結局のところ、農業に寄生する勢力の温床となっている。その寄生する勢力の一端に政治がある。頭の黒いおっさん鼠の一団というわけだ。
見方を変えると都市部は物言わぬスネであり、地方によるスネのかじり続けを許してきた。この状態はある意味、立法府の望むところだったわけだから、対応策を講じなかったのは、労せずして自分達の利益が図れる一挙両得の策というわけだ。この故意の怠慢対して立法府が本来の責務を果たさなかったため、政治に対する不信が募り、また政治家自身の能力と活力の低下を招いたのではないのか。その結果が現在の政治凶作の大きな要因だと思える。
2012/10/20