日曜日、実家に用事で行くと、今年も柿の実る、去年と比べて甘柿のなっている数は随分と少ない。その代わり実は大きいようだ。ただ、まだ赤くなっておらず、片方で落ちたのもあった。
一方、渋柿は木が大きくなったせいもあるだろうが、細い枝が折れるばかりに実っている。こちらは甘柿よりもさらに青いが、やはり真っ赤に熟れたのも数個あった。そこで、鳥に突かれていないのを1つ食べてみた。去年の今頃書いたと思うが、渋柿の熟柿ほど甘くて美味い食べ物はないと思う。もっとも実が大きいので、1つ食べると満足してしまう。そうなると、「熟柿は退廃的な味」と思えてくるのだ。
そう思ったのには理由がある。枯れ葉が地面に落ちた甘柿の実を覆い隠していたのだが、それに気づかずに踏みつけてしまったから、柿の甘く腐り始めた香りが一面に漂った。
この香りも熟柿と同じで経験してみないと理解できないと思う。もっとも、西遊記を読んだのなら、大量の柿が腐って積もった山道を、猪八戒が豚の本性を現して切り開く話を思い出してほしい。腐った柿ごときで何故、三蔵法師が進めないのか。やはり腐った柿の退廃的な、坊さんを惑わす香りのせいだろうと思う。
2012/10/23