電力会社の赤字経営が続いている。その大きな原因は原発の停止である。その原発の再稼働があるのか、あるとすればいつなのか依然として明確でない。このため、電力料金の値上げが模索されている。
それと並行して株式に対する配当をゼロにする方針と報じられる会社も出てきた。10/24現在では関西、北海道、九州である。東京はすでに無配だから、これで4社となる。他の電力会社も沖縄とJパワーを除いて今季の利益は赤字かゼロ近辺だから、無配になっても何の不思議もない。
電力料金の値上げを認めてもらうには、配当をゼロにする戦略が有力となる。無配は「経営が苦しい証拠」だからである。さらに考えると、原発が止まっていることを理由として値上げは認定されるにしても「暫定的」なものとなる可能性が高いうえに、原発の事故以降の電力会社に対する世間一般の強い風当たりからすると、その暫定的な値上げであっても極力縮小されるだろう。とすれば、値上げ後の利益水準も低位に留まる可能性が高い。つまり、電力会社として配当に回す資金が捻出できないかもしれない。
以上から、電力会社には当分の間(「近いうちに」と同様に曖昧でずっこい表現だが)、配当を期待しないほうがいい。結論として、電力会社が潰れることはないものの、実質的に死に体に陥る可能性が高い。一言で表現すれば、電力会社の株式に普通の投資家は近づかないことが望ましい。安くなったからという理由だけで買えはしない。
2012/10/25