本日発表された貿易統計によると、10月も大幅な輸入超過が続いている。季節性を除去する以前で5490億円の赤字、季節調整後では6243億円の赤字だった。
9月の季節調整後の赤字額は9590億円だったから、それよりは赤字が減少している。しかし、9月は、10月からの環境税(地球温暖化対策税)導入を控え、燃料関係の駆け込み輸入があったので赤字幅が膨らんだ。10月に入り、そういう特殊要因が消えたはずなのに、高水準の赤字が続いている。要因は、欧州景気の後退と日中問題があり、輸出の減少傾向が続いていることと、燃料の輸入が高水準であることに尽きる。欧州の景気が底打ちすれば輸出は回復すると期待する向きがあるものの、その効果はどの程度だろうか。日本から欧州への直接の輸出額はそんなに大きくない。中国経由の間接効果はあろうが、日中問題が尾を引くと考えておかないといけない。
この貿易統計の赤字は為替に影響を与える。現在、海外投資家の日本国債の購入が増えている。これは裏を返すと、日本国内の資金余剰(マクロ経済で言う国内の貯蓄・投資バランス)が縮小し、言い換えれば経常収支の黒字が縮小し、国内投資家の胃袋だけでは国債を十分に消化できなくなってきている証拠ではないのかとの懸念を生じさせる。
足元、為替市場は円安に振れている。これは安倍ボン発言の影響を受けただけなのかどうか、注意が必要だろう。
2012/11/21