REITすなわち不動産投資信託への投資が好調である。研究会で報告するために調べたところ、2004年1月から今年11月までで、年平均3.5%(配当込み)の投資収益率、株式市場より高い。
さらに、リーマンショック後の安値をつけた2009年2月からは15.2%である。株式市場のリターンがゼロ近辺だったことからすると、きわめて良好である。このため、新たなREITの上場も計画されている。
何故、REITは好調なのか。REITの収益の源泉は不動産の賃貸料である。その賃貸料がそもそも高い。しかも、REIT(正しくはREITを発行している投資法人)の保有不動産の半分程度は負債によって調達した資金によって購入されている。投資商品としてのREITの性質は株式に近いから、負債の金利よりも保有不動産の投資収益率の方が高ければ、残りは投資商品としてのREITに分配される。さらに、現在は日本銀行が金融緩和の一環として日本銀行が一定の条件を満たしたREITを購入している。
では、今後ともREITは「買い」なのか。留意点だけを述べておく。その留意点に注意して、後は個々人の判断である。
第一に、不動産にはバブル的な動きがありうることである。聞くところによると、現在、人気物件には多少そのような動きもあるとのこと。バブル的な動きに乗ってしまうと、リーマンショック時に見られたように、REITの急落もありうる。最悪は、これもリーマンショック時にあったが、REIT自身が破綻しかねない。
第二に、REITには親会社、とくに不動産系の親会社が多いことである。この場合、親会社が一流物件を保有し、二流物件や売れ残りをREITに投資させる可能性である。投資しようとするREITの過去の実績と評判を調査しておくことが望ましい。いずれにせよ、冒頭のREITの投資収益率は平均値での話しであることに注意すべきだ。個々のREITがどうなるのかは別の話である。
第三に、日銀の購入効果が剥げ落ちるリスクである。金融緩和が続くとしても、日銀のREIT購入は個別株式の購入に近く、望ましい政策ではないだろう。
幸運を。
2012/12/10