川北英隆のブログ

「日曜に考える」対談で考える

日経の日曜日の朝刊に「日曜に考える」コーナーがあり、その1つが対談である。今日は「アベノミクスは有効か」と、外人とパリバ証券の河野氏が対談した。その中身はというと、外人が上滑っていた。
外人(アダム・ポーゼン氏)は欧米では知識人なのだろうが、やはり日本経済に関する知識が大いに不足している。だから、特定の経済学者の話や文章だけを頼りに議論しているから、きわめて軽く、滑ってしまっている。どっかのオバちゃん(最近ではオッちゃん)が又聞きの話を頼りに井戸端で議論しているのに近い。一方の河野氏は、僕自身が以前から議論した何回かの機会に感じたところだが、ユニークな発想の持ち主である。だから、外人の上滑った議論を完全に打ち砕いた感じになっている。少なくとも、誰が読んでも奥が深い。
河野氏も指摘しているように、安倍政権が最初に打ち出した政策、公共投資中心の景気浮揚策は90年代の自民党政権が多用したものである。当時、それによる大した効果が得られないまま、国の債務だけが積み上がった。90年代、企業の不良資産が重荷となり、また株価や地価が下落しきっていなかったため、公共投資の効果を得るのが難しかったのは確かである。これに対して現状は、90年代の経済環境とは異なっている。他方、2000年代に入り、企業の競争力や経営の意欲が劣化してしまい、人口が減少時代に入ったのは新たな事実である。
何回も書いているが、財政政策や金融政策は呼び水でしかない。それに企業がどう反応し、行動するのかが大きな鍵である。繰り返さないが、企業の反応と自律的な動きについて、あまり期待しないで見守っていこう。また、自民党政権が公共投資という旧来勢力の誰もが喜ぶ政策を打ち出した後、農業、医療などに代表される規制分野問題と、自らの基盤である一票の格差問題にどれだけ真剣に取り組めるのか、注視したいものだ。

2013/01/13


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