川北英隆のブログ

年齢が立場を逆転させる

今日、東京に出てきて、元の会社の同僚(といっても合計3人)で飲み会をした。何がきっかけだったかというと、昨年10月に逝った(ブログにも書いた)本多君である。
飲み会の場所は門前仲町の、知る人ぞ知る割烹料理屋だった。飲み会を仕切ってくれた同期が何十年も通っている店とか。以前にも複数回、彼と飲んだことがあるのだが、最近はそこを使わなかったので、店に行き着く前に少し迷った。
もう1人は2年下の、正確には部下だったこともある同僚である。飲み会には深刻な人間はお呼びではない。こっちもいい加減だから、相手もそれに適当に応じてくれるのが嬉しい。それに僕は無口の方だから(食べる口は六口なものの)、適当にお喋りな相手の方が気楽である。
今日はその理想に近い状態だった。その飲みながらの会話で知ったのは、同期が名家の出だったということである。家に古い写真が山のようにあるという。というのも、曾祖父さんと爺さんがハワイに移民に行き、成功したからとのこと。
昔の日本人は世界展開に向けて貪欲だったようだ。貧乏だったからかもしれないが。この事実から、あれやこれや考え、結局は行動しないことを弁明する現在とは異なり、昔はとにかく行動し、後で考えたのが明白になった。見方を変えると、緻密に整えられようとしている現在のマニュアルは人間の行動を萎縮させる。また、考えない人間を大量生産する。何のためのマニュアルなのか、基本に立ち戻るべきだろう。
で、今日の飲み会の話題は転々としたものの、主題の1つは健康問題と、もう1つは、我々の世代になると、これから動ける期間は思っているよりも少ない可能性が高いから、時間が非常に貴重だとの感想だった。これらの話題から一時的に外れても、いつかは帰ってきていた。
その席で言われてショックだったのは、一番気楽なはずの大学教員になった僕が、どうも一番まじめに働いているのではないかと、同期から指摘されたことである。確かにそうかもしれない。今日も早朝に起きて期末試験の採点をし、入国管理事務所に立ち寄り、大学に出向いて会議に出席した後、東京に出てきたのだから。それに対して同期は東北、四国、九州と飛び回っている。
同期の中で一番、有給休暇の消化率の高かった僕としたことが、今に及んで同期に遅れをとるなんて。少し人生観を考え直す必要がありそうな。

2013/02/06


トップへ戻る