川北英隆のブログ

日本企業の革新性について

元財務官でミスター円と呼ばれた行天さんの話を聞く機会があった。時々お会いするものの、まとまった話を聞くのは久しぶりだった。その中で、日本のとるべき立場が結論的に述べられた。
その結論は次のとおり。アメリカをコアとする環太平洋圏と、中国をコアとするアジア圏との両方の勢力圏の端に位置する日本の今後は、どちらの圏内のサブリーダーとして振る舞うのか、もしくは独自の立場を貫くのかにかかっている。以上を3択の問題として真剣に考えないといけないが、どの立場を取るにしても大変であり、文化、経済、技術、軍事、外交等を含めた総合的な国力が求められる。
行天さんに聞き流しは失礼なので質問した。その質問は、アメリカの活力ある企業(アップル、グーグル、アマゾン等)は「物作りの企業」を下請け的に使いながら、非常に大掛かりな構想で(まるで投網で小魚を一網打尽にする感覚で)、インテリジェンスな事業展開を行っているが、日本はそのアメリカにどう追いつけばいいのかというものだった。
これに対し、ドイツも依然として製造業に軸足を置いているものの、製造技術をブラックボックスにしておくことは困難になりつつあり、いずれはインテリジェンスな事業展開をせざるをえない、インテリジェンスな事業展開には、高等教育や企業内部の考え方の革新が必要になるとの答えだった。その後、アメリカのコア技術は軍事を目的としたIT技術にある、日本もコア技術を確保しないといけないとの半ば反論があった。そうだとすれば、日本のコア技術とは何なのか。
円高の修正が日本企業に余裕を与えている。この余裕がある間に、企業は自分達の行く末を構想しないといけない。経営者たるもの、自社の現場を観察し、他方で世の中の動きを大局的に観察しながら、長期的なビジョンを描き、ビジョンの実現のための努力が怠れない。高い報酬をもらっているのだから、この程度の努力は当然だろう。

2013/02/07


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