昨年12月の国際収支統計が公表になった。12月の経常収支は2641億円の赤字だった。もっとも季節的な変動を調整すると(季節調整済値で)黒字なのだが、安心してはいけない。
この季節調整済値での黒字だが、黒字の金額は心もとなく、ほぼゼロに近い。数字を示しておくと、9月1313億円の赤字、10月4141億円の黒字、11月2259億円の黒字、12月981億円の黒字である。2012年が全体で47036円の黒字、この金額を月平均に直すと3920億円だから、9月以降の黒字の数字がいかに小さいのかがわかるだろう。
この最大の要因が貿易収支の大幅な赤字にあることは間違いない。輸出が冴えず、輸入が原油や天然ガスによって膨れ上がっている。しかし、それだけだろうか。
気になるのが証券投資から得られる債券利子所得、つまり外債投資からのインカムゲインの減少傾向である。貿易収支の赤字を埋める最大の収入が債券利子所得であるが、世界的な低金利の影響を受けて減少を続けている。これを株式からの配当金所得で補わないといけないのだが、こちらはこの1年半の間、伸び悩んでいる。日本企業は、海外子会社が稼いだ利益をそのまま現地での投資に充てており、日本に還流させていないのだろう。
いずれにしても、貿易収支の赤字が当面解消する見込みがない中、海外投資からの所得が伸び悩んでいることに注意を払わないといけない。また、この国際収支の黒字縮小は為替レートにも影響する。何回も述べているように、最近の円安を手放しで喜べないのである。
2013/02/08