川北英隆のブログ

株価がどれほど上昇したのか

ここ最近の日経新聞の記事の臭さには閉口している。その事例がタイミング良くあったのでコメントしたい。40年以上、日経を購読している読者として、もう少し客観的であって欲しいものだ。
見出しが問題である(見出しを見た瞬間、ウソと思い、記事を読まないが)。3/7に、「日本株"リーマン前"接近」とあった。それを読んだ瞬間、誰しも「えらい回復やな」と思うに違いない。一応株式市場の専門家と称している僕でも、「えっ、そうなの」と反応し、次の瞬間、「でもホンマかな」と思ったくらいである。それも、ニューヨークのダウ平均株価が史上最高値を更新したのと同時並行的に報じられていたものだから。
実のところ、この見出しはオーバーである。もちろん真実であるが、事実の一断片しか表現していない。正確に述べると、他国もそうなのだが、サブプライムローン問題が表面化した2007年の夏以降、株価は下落している。日経平均も最高値とリーマンショック前とでは1/3の株価下落が生じている。この事実を日経は無視している。
株価が上昇し、景気の浮揚効果があるのは確かである。しかし、現在の株価水準がいかなるものなのか。欧米と比較してどうなのか(事実は日本の株価の回復がえらく遅れている)。もう少し冷静な記事を書かないといけない。現状では、要するに「大本営発表」の記事となり果て、安倍ちゃんを持ち上げるだけのものになりかねない。マスメディアとしての新聞の地位、大いに心配である。

2013/03/07


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