この歳になると原則、訃報はほんの少しだけ寂しいものだ。「原則外の、楽しい訃報があるのと」質問されそうだが、その答えは秘密。今日入った、日本総合研究所の新美一正氏の訃報も寂しかった。
新美一正氏の業績に関してはネットで調べてほしい。彼とは証券アナリストジャーナルの編集委員として、もう20年近く前なるだろうか(調べると1996年からとのこと)、一緒に仕事をした。少し斜に構えた感じのある発言のスタンスは、自信のない者にとって震えるものがある。
しかし、証券アナリスト協会の通信テキストで「証券化」に関して僕が執筆した時、新美氏からコメントをもらい、大変参考になった記憶がある。そのテキストは現在、廃版になっているものの、昨年出版した「証券化―新たな使命とリスクの検証」の川北執筆の箇所に受け継がれている。
新美氏の年齢は53歳だったとのこと。最初に知った時、彼は30代だったのかと思う。いつもながら年月の経過は矢のように速いもの、そう思うことが、また、そもそも訃報が年に複数回舞い込むこと自体が、老けた証拠か。今は春なのに老けるなんて、更けゆく秋の夜の歌詞を思い出させて、季節感のない話題になってしまった。
冥福を祈らないではいられない。
2013/03/11