2%のインフレ経済を目指すという安倍政権と、それに呼応する日銀の黒田新総裁の金融制作をどう評価し、個人は金融資産をどう組み替えればいいのか。少し考えてみた。
「少し考えてみた」の意味は、僕自身として大きな金融資産の組み換えは必要ないと思っているものの、確認を含めて再点検してみたとのことである。
これまでの民主党政権に定見はなかった。その中、白川氏は大きな賭けをせず、日本経済の着実な回復の後ろ盾となるように金融政策を実施してきた。
これに対し、安倍政権になってから、政府は「日本経済のジリ貧を防ぐ」姿勢に転じ、積極的な手を打ち出した。1990年代の政府を彷彿させる。違いは、当時の日本には財政的な力があったものの、現在は力が減退していることである。それにもかかわらず積極姿勢に転じたことは、言い換えると「賭けに出た」ことになる。
財政政策は当面の財政赤字を拡大させる。一段の金融緩和は、政府の財政赤字に対する日銀の関与を強める。日銀が政府に飲み込まれかねない。
もちろん、これらの一連の政策が成功すれば、日本経済の浮上への道筋が見えてくる。しかし、個人の資産運用を考える場合、「絶対に成功する」との精神論だけでは成り立たない。失敗に終わった場合も考えておかないと、「すってんてん」になってしまうからだ。今回の安倍政権の政策が「賭け」だとするのなら、賭けに負けた場合も考えておこうとのスタンスであり、これが正しいと思っている。
では具体的にどうするのか。一昨日も書いたように、海外資産を増やすことに尽きる。円安には経済的な理由がある。そうだとすれば、安倍政権の賭けが成功しなかった場合を想定し、海外資産を保有することに合理性もある。
賭けが成功したらどうなるのか。その場合、日本が発展するのだから、将来の日本円での給料も年金も安泰である。他方、海外資産は目減りするかもしれない。しかし、信頼できる国の通貨や企業に投資しておくのなら、懐が大きく痛むとは考えられない。
つまり、丁半博打に偉い人が熱を入れている時、庶民は丁が出ようが半が出ようが、どちらでも何とかなるように処するにかぎる。それが生活の知恵である。戦乱の世もそうだったのだろう。どの武将が生き残るか分からない、そんな時代をたくましく生き残った近江商人は大いに発展した。この事実を思い出しておこう。
2013/03/11