川北英隆のブログ

沖縄科学技術大学院大学

先日、沖縄を訪れた機会を利用し、沖縄科学技術大学院大学(OIST)を見学した。訪問の用件を話していると、OISTの話題になった。一度行くべきとの意見が強かったので、時間を作った。
OISTには当然ホームページがあるのでそれを見るのが二番、実際に訪問するのが一番である。というのも、「日本の大学」の常識をひっくり返す施設だから。
OISTの設置は「沖縄科学技術大学院大学学園法」という特別立法に基づいている。大学の運営予算は文部科学省ではなく、内閣府が主導権を握っている。主旨は沖縄振興にあり、そのために世界最高水準の科学技術に関する教育研究を行うとのこと。文部科学省の予算であればバラマキ型になりかねないが、内閣府の予算なので、OISTへの一極集中配分が可能である。
大学設置の主旨はともかく、訪問すると建物が立派であり(大学離れして垢抜けている)、研究環境も抜群である。
HPに数字が公表されているので、それを写しておくと、教員47、研究者260、事務スタッフ170名とある。教員がこれらすべてとは言わないまでも、少なくとも研究者とスタッフの一部を使っている。これに対し、学生は1学年40名程度、修士・博士の一貫教育なので、5年後の学生数は200名を予定しているとのことだった。学生の教育に関して、少数精鋭を目指していることになる。なお、教員、学生共に日本人がとくに優遇されているわけでない。
さらに言うと、外人が多いので、住居、教育環境ともに整備されている。また、教員の給与は国立大学平均の1.5倍程度はある雰囲気だった。これでは能力ある外人の研究者は、まずOISTを希望するだろう。
日本人で優秀な学生は、このOISTを目指すのが正解かもしれない。少なくとも、今のうちは指導教員や教育環境において恵まれている。旧態依然とした有名大学に行くよりは鍛えられると思うのだが。問題は、沖縄という環境が好きかどうかだろう。でも、理科系の研究であればバイトする暇もないし、大きな支障はないと思う。
うらやましいかぎりだが、まあこういう大学が伸びれば、大学に対する一般的な見方も変化するだろう。

2013/03/15


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