川北英隆のブログ

一票の格差選挙は無効

3/7に書いた「先の選挙は無効、やり直し」判決がついに高裁で出た。岡山と広島での判決である。このうち、広島は猶予付きだが、岡山は「即無効」とのこと。司法が飼い犬の身分を放棄した。
3/7のブログでは「無効、やり直し」判決を出さないと「選挙をやった者勝ち」の状態が続き、選挙制度改革は先送りされてしまうとの危惧を述べた。司法にもそのムードが高まってきたのだろう。国会議員や内閣からすると、飼い犬に手を噛まれたところか。
思うに、国会議員がほぼ独占的に構成する内閣は、日銀に「大胆さ」を要求し、それに忠誠を誓う総裁と副総裁を選んだ。しかし、その国会議員は自分たちの利害にからんでしまうと、選挙制度改革をちっとも進めないというか、単に一票の格差をなくし、国民の平等権を確保する大原則に選挙制度を戻すことにさえ「あれやこれや議論し、小出しで、やった振りだけすること」に終始してきた。「他人に大胆さを求めるのなら、自分たちも大胆に改革を進めろや」と思ってしまう。
それにしても、「選挙までに格差を是正しなかったことは国会の怠慢であり、司法判断に対する甚だしい軽視というほかない」との広島高等裁判所岡山支部の判断には、裁判官の怒りが感じられる。「選挙を無効にすれば、対象となった選挙区から議員が選出されないままの状態になるが、長期にわたって投票価値の平等に反する状態を容認することの弊害に比べ、政治的混乱が大きいということはできない」との評価は、まさにそのとおりである。目先の利益よりも(そんな程度の利益さえあるのかどうかは不明だが)、日本国の将来の利益を重視した判決であり、歴史に残しておきたい判決文だと思う。
安倍ちゃんは憲法改正も視野に入れているようだ。憲法改正には反対しないが、どうせ改正するのなら、一票の格差が自動的に是正される選挙制度をきちんと定めるべきだろう。それも、一票の格差が1.1倍程度以内に収まるような制度が必要である。2倍以内なら不平等でないとか、誰が考えても失笑してしまう理屈をこねる必要がないように。同じような仕事をしてるのに、2倍の給与格差を付けられて「正当な給与だ」と誰が納得するのだろうかと、これまでの行政や司法の非常識には呆れてしまうから。

2013/03/26


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