いつも思うのだが、アフリカのロバは何を考えて働いているのだろう。写真は4000メートルの峠を越えようとしているロバだ。苦しそうに歩いているのもいれば、写真の2頭は余裕のように見える。
イソップ物語のロバは「ずっこい」役で登場する。しかし、この写真のロバは真面目そうだし、他のロバもそうだ。ずっこいとは、何が理由なのか。と問うたものの、ロバは頭のいい生き物らしくて、飼い主の顔色を窺うのが得意だそうだ。だから扱うのが難しいのだろう。ウマほど従順ではなさそうだし・・・。
『僕の耳は大きく茶色い。それで何を聞くのか。僕の顔は大きい。頭も大きい。それで何を考えるのか。峠が近づいても脚が速まることはなく、それまでと変わらず歩んでいく。峠はいつものこと、まだまだ歩かないといけないのだから。背中の荷物は実は重くないのだけど、重いふりをする。ふりをしないと、水を含んだ塩の塊が余分に乗っけられる。「しんどいなあ」と寂しげな目で訴えても、ご主人は水を飲みながら「はっし」と小枝で僕の尻を叩き、ゆっくりと後から歩いてくる。ご主人が「はっし」と本当に急いでいるのかどうかは、大きな耳で入念に聞き分ける。ご主人も適当に歩いているのだろう、のべつまくなしに「はっし」と急がせるわけでもない。僕は途中で歩みを止め、「しんどいんやろな」とご主人に思わせ、「あーあ」と峠へ最後の登りを準備した。』
2013/03/29