川北英隆のブログ

経常収支も赤字化の様相か

2月の国際収支が公表された。表面的には新聞が報道するように「4ヵ月ぶりに経常収支が黒字」だった。しかし、実態は少し異なっているようだ。季節性を修正すると、赤字だったかも。
季節性を調整しないベースだと、2月の経常収支は6374億円の黒字だった。しかし、財務省が「季節調整後の数値」として公表した数値では、わずかとはいえ1億円の赤字となっている。
この季節性を修正したベースで経常収支が赤字になるのは昨年9月以来である。もちろん、今日公表された国際収支は速報だし、季節性の修正は計算上のもので、誤差が大きい。
2月は中国の旧正月にあたったため、輸出が減り、特別に貿易収支の赤字が膨らんだとの説明もある。残念ながら、普通は2月に旧正月が来るので、大きな理由にならない。
一方、輸入が急増しているために経常収支を赤字方向に引っ張っている。これは、ドルで決済する輸入が多く、輸入金額を円に計算すると、円安によって膨らんでいると説明できる。とはいえ、季節性を修正する前、2月の6374億円の黒字は、やはり海外から外貨で受け取る利子や配当収入が円安によって膨らんだ効果が大きい。円安が経常収支に対し、マイナスの効果を与えているだけではないと、理解すべきである。
視点を変えると、季節性の調整という技術的な修正を加えただけで赤字になる経常収支が、何を意味しているのか考えるべきだろう。それだけ、経常収支の黒字が少額になっていると理解できる。
いずれにせよ、新聞の見出しだけを読んで、経済の状況を理解したつもりになってはいけない。統計のクセ、新聞のクセも、ついでに読む必要性が高い。

2013/04/08


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