昨日の日本の国債投資に関する続きである。誰が国債を買ったのか。一番最近公表されたデータを日銀のHPから落とした四半期ベースでの増減額を計算した。
その結果、いくつかのことが判明した。
まず、昨日の預金取扱機関の数値がどうも間違っている(昨年の今頃に日銀のHPから落とした数字と大きく異なる)ことである。理由は明らかでないが(他の数値は正しいので、これ以上調べるつもりもないが)、預金取扱機関の国債保有額は、実のところ減少していた。とくに昨年10-12月期の減少は5.7兆円に達している。
また、日銀の資金循環統計の分類では、国内銀行、在日外銀、農林水産金融機関、中小企業金融機関の区分しかないが、このうち農林水産金融機関以外は減少している。国内銀行を大手と地銀に分ければもう少し興味ある事実が浮かんでくるかもしれないものの、日銀の資金循環統計では無理である。日銀の統計に都市銀行、地方銀行等の資産と負債の残高データがあるので、それを検索しないといけない。そこまでやる気はない。
次に、生命保険会社、共済保険などの保険会社(機関)が国債の保有を増やしているのは間違いない。一方、年金の国債保有の減少は減少している。これは公的年金の保有の減少によるところが大きい。年金保険料の収入よりも年金支給額の方が大きくなっているためである。
ということで、昨年1年間では日銀の国債保有の増加が際立っている。この状況が4月以降、ますます増幅される。どうも国債市場は不健全さを増しているようだ。日銀は「財政ファイナンスではない」、つまり「政府の資金繰りを助けるために国債を購入しているわけではない」としているが、どこまで対外的に信じてもらえるのか、怪しいことになりかねない。
今日も市場では国債が売られ、利回りが上昇していた。株式市場は投資家にとって嬉しい方向に動いているものの、債券市場は異なっているようだ。これが一時的な現象なのかどうか、注視が必要だ。
2013/04/10