昼の用事が終わり、ついでにということで知り合いと銀座界隈で会合をした。終わったのは9時頃。気候もいいし、最近の銀座がどう変化したのか見ながら帰ろうと思い、ぶらぶらと歩いた。
株価の上昇の余波で、最近の銀座ではタクシーを拾えないことがあるとか聞いたが、実際のところはまだ9時だというのに人通りが少なかった。金曜日でないからかもしれないし、歩いたのは表通り(中央通り)で、高級飲み屋街でなかったせいもあるか。
そんな静かな通り、松屋を少し過ぎた時、向かいから歩いてきた男が明らかにこちらに近づいてくる。注意深く様子を観察しながら、しかし止まることなく歩いていくと、男が紙を広げながらこちらを見て声をかけてきた。
道を尋ねるようだったので、多少安心して男が近づくままにした。とはいえ、用心のため一定の距離を保った。男は韓国人か中国人のようだ。広げた紙は地図で、日本製のようだった。銀座界隈の一角に印が付いていて、「ここに行くには」と聞いてきた。通りは暗いし、地図の字が小さくてはっきり見えない。とはいえ、地図をよく見るために近づくのは避けた。「よく見えないけど、どこに行きたいの」と質問したが、男は答えない。漢字が読めないようなので、韓国人だったのかもしれない。
暗さに少し慣れ、地図の文字も多少読めるようになったので、「こちらの方向にもう少し行ったとこ」と腕で示した。そんなやり取りをしていると、もう1人、女が近づいてきた。連れのようだった。「これが男だったら怖いな」と思いつつ、彼らが納得して指さした方向に歩き始めたのを見て、こちらも帰りを急いだ。
1月中旬に出くわした東京駅のすぐ近く、高島屋付近でのいかがわしそうな客引きといい、どうも最近の東京は怪しげである。過去、東京に住んでいた頃に、こんな思いをしたことはなかった。
日本の不景気につけ込み外人がかなりの数、日本に来ているせいか。それとも、最近の円安のせいか。いずれにせよ、銀座も悪い方向に変化しつつある。
2013/04/11