テニスコートには楽しいイメージがあるのだろう。天地真理(古いね)の歌に「あなたを待つの」で登場する。もう1つ、テニスコートを思い出させたのがレナウンである。
「何でや」との質問はあろうが、まさか「レナウンって何」との質問はないだろう。念のために説明すると、アパレルメーカーであり、今でもブランドとして残っているはずだ。僕が社会人になった頃はレナウンの全盛期で、「テニスコートに春が来りゃ・・レーナウン・・レナウン娘が」のコマーシャルソングが流れていた。友達の友達が飲み屋で、その歌に合わせてパンストを履く仕草をし、拍車喝采を浴びたのを覚えている。
パンストといえば厚木ナイロン(今のアツギ)の株を買い、少し儲けた思い出もある。昔はそのような繊維メーカーが気を吐いていた。今では両社とも冴えないが、とくにレナウンは手を広げすぎて傾いたのだろうか。関心のない、またアナリストとして担当しなかった業界なので、正確には知らないが。
そのレナウンが中国のアパレル会社(山東如意科技集団)の子会社になるとか。その中国企業の大株主が伊藤忠とはいえ、いわば近代日本の老舗(そもそもは1902年設立)が、中国に身売りしたことになる。これでかつてのレナウンの輝きを取り戻せるのであれば、それも仕方ないこと。全盛期を過ぎたのにあれこれ選り好みをした挙句、消えるのみとなるよりはましだろう。日本企業が純粋の日本企業を捨てて生き残りを図るのも、立派な経営戦略だと思う。
再びレナウンのテニスコートに春が来てイェーイとなるのか、秋が過ぎて落ち葉がカサコソ溝に転げていくのか。レナウン娘を時々思い出し、その行く末を知っておきたいものだ。
2013/04/13