日銀が物価と賃金の上昇を目指した政策を採用し、安倍ちゃんも企業に賃上げを要請している。賃上げをルール化しようとの意見もあるとのニュースも報じられた。どうなっているんやら。
先の土曜日、大学院生との研究会を開催し、終ってから研究室で少し雑談した。院生に地方公務員がいるので、「賃下げは実施されたの」と質問してみると、「もうじき(何月からと答えてくれたのだが、その月を忘れた)下げられる」とのこと。
大震災の復興のために国家公務員とそれに準じる国立大学の給与が下げられ、さらに「地方も下げろや」となった政策である。公務員に対する風当たりが強いから「当然違う」との意見もあるだろうが、物価上昇のために賃上げを民間に要求しておきながら、同時に地方公務員の給与を下げることを、どう整合的に説明するのだろうか。
まあ、公務員に対する給与の支払いは政府の権限だから「しゃあない」ということかもしれないものの、これで公務員が怒らないのはどういうわけか。「安倍ちゃんの推進しようとしている政策と矛盾するやん」、「物価が上昇したら、生活をどうしてくれるんや」と怒るべきだろう。それとも、自分達がこれまで給与に相当する仕事をしていなかったと自ら認めているのだろうか。ちなみに、公務員が十分な仕事をしていないように見える1つの理由は、上司の指図が悪くて余計な仕事をいろいろさせているからだと思っている。
もう1つの、賃上げのルール化が何を意味しているのかは不明だが、これこそ余計なお世話だ。もしくは市場経済から統制経済へ移行しようというものだろう。いずれ、「物の値段の決め方をルール化しよう、いや、一層のこと物価を政府が決めよう」と言い出しかねない。
このブログでも書いたと思うが(少なくとも最近の講演で話したが)、デフレの大きな原因は、企業が無策にも、人件費削減だけで利益水準を回復しようとしたことにある。短期的には効果があるものの、それをいつまでも続ければ「天に唾するようなもの」、製品やサービスに対する購買意欲を後退させ、売上の量が減少し、単価の引き下げを余儀なくされ、業績を悪化させてしまう。そこで企業が無策だと、さらに賃金を下げないといけなくなる。悪循環である。
とはいえ、そんな企業に賃上げを強制するのは本末転倒である。もしくは、公務員の給与引き下げの二の舞となりかねない。
政府が企業に干渉したいのなら、経営者逹に「経営論」や「マクロ経済論」など、経済の講義の受講を義務付けることかもしれない。これもお節介なことだとは思うが、政府が物の値段や賃金を決めるよりはましかも。それとも、「議員もアタマを作り直すために講義を受けるんで、経営してるアンタらも一緒にどや」と提案するのはどや。
2013/04/15