4/15に証券会社の「とろこさ」を書いた。そこで母親の代理人になると言ったが、何故そんな面倒なことをするのか、その理由を書いておくのが参考になるだろう。
基本は老人になるにしたがって脳の働きが悪くなることに尽きる。自分自身のことを考えても、言い間違い、固有名詞のど忘れが目立つし、階段を下るときに踏み外しそうな錯覚に陥ることがある。階段を踏み外しはないのだが、そうイメージしてしまうくらいに脳の反応が衰えている。
母親は大正15年の末の生まれ、もうほんの少しで昭和である。こないだ亡くなったサッチャー元英国首相より1歳若いだけだ。って、「そんなんと比べてどうするんや」というとこだが。いずれにせよ、頭の働きが悪くなっている。しかし、自分の資産の運用をやりたがっている。
そんなだから時々監視しているのだが、気づくと「とんでもない投資信託」を買わされていることがあった。1回は銀行、もう1回は証券会社である。さすがに証券会社には頭に来たので、「適合性の原則違反やないか」とクレームの電話をした。ついでに、「僕が代理人になるので、母親からは直接の注文を受けないよう」と言っておいた。以上が経緯である。
銀行でも証券会社でも、販売量が行員・社員の業績の証となる。だから、どうしても無理な販売、すなわち「ずっこい」ことをしがちだと思う。年寄りが身近にいるのなら、自己防衛、注意して行動を観察するにかぎる。
先日、日本証券業協会の幹部と喋る機会がったので、ついで現在の投資信託販売の実態を伝えておいた。個別の業者名は出さなかったのでご安心を。ただし、「適合性の原則については、口を酸っぱくして指導する必要がある」と忠告しておいた。
注:適合性原則とは、証券業務を行う業者は、投資家(購入者)の判断能力や身の丈に応じた販売をしないといけないとのルールである。金融商品取引法が根拠となっている。
2013/04/17