川北英隆のブログ

バカガイを食べる

今日の夕食にバカガイが登場した。アオヤギである。貝から取り出された身を酢味噌と一緒に食べた。アサリよりも大きな身が美味い。春の味かと思っていたが、冬から4月頃に採るとある。
子供の頃、海のない奈良県人として、大阪湾(今の関空の対岸付近)や伊勢湾に潮干狩りに行ったことがある。どちらかは忘れたが(多分、伊勢か)、当時はかなりの量のアサリが採れた。ついでに、ハマグリのような大きな貝もかなり混じった。でも、当時から高級だったハマグリがそんなにたくさん採れるわけがない。そこで「この貝は」と地元の人に尋ねたところ、「バカガイ」と教えてもらった記憶がある。「ひょっとしてハマグリか」と、ほんの少しあった期待が、「バカ」の一言で木っ端微塵になった。
その貝もアサリと一緒に家に持って帰って食べた。しかし、「バカ」と名付けられた貝が美味いとは思えなかった。
そんなことで、バカガイのことをほとんど忘れていたが、社会人になり、寿司屋に行って、アオヤギと出会った。多分そこに貝殻もあったのだろう、「これって、ひょっとしてバカガイか」と思った。調べるとやはりそうだった。ということで、大量に採れたバカガイことアオヤギを子供の頃、しっかり食べなかったことを悔やんだ。なにしろ寿司ネタなのだから。
そんなことを思い出しながら、今日もバカガイを食べた。
「バカガイ」は日本語の学名にも使われている。別に不味いから「バカ」と名付けられたわけでもなく、いつも貝の口を開けている姿から名付けられたらしいのだが、もう少しましな名前がなかったのか。でも、不味そうな名前が正式名となったから、大量に食べられることもなく、生き延びてきたのかもしれない。こう考えると、絶滅危惧種にも「バカ」とか「ドク」とか「クソ」とかの2文字を新たに付け加えるのがいいのかも。

2013/04/22


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