川北英隆のブログ

香り3(動物)

動物を飼ったり触れたりしていると、その香りというか匂いがついてまわる。じつのところ、猫の匂いは嫌いでない。犬は、咬まれた経験からか、得意ではない。最近はロバの匂いが身近だ.
昔飼っていた猫は太陽と土の香りがすると思っていた。外で遊んでいたから。そもそも、猫を抱えるのはいたって簡単なので、匂いも身近である。
膝の上にもすぐに乗ってくる。そんな猫の上に新聞を広げて読んでいると、彼女からするとページをめくる音が気に障るのか、新聞の下から猫手が飛んできたりする。それでつい、「おまえはアホか」というので猫をつかむと、やはり匂いがする。そんな時、「セガやな」、「カラダガやな」と、猫に言って聞かせるのが面白い。
その猫がいなくなって久しい。今は、旅行用のダッフルバックを広げる度にロバの匂いがする。その瞬間、プルーストのマドレーヌではないが、いろんな旅行の思い出が蘇る。その思い出のほとんどはタッシリナジェールだろう。特異な風景の広がる高原での逍遥の間、ロバに荷物を運んでもらったが、そこで世話になったロバの体臭(カラダガ)がする。
一度、洗わないといけないだろうか。でも、そのダッフルバック、僻地に行く度に動物に担がれるから、洗ってもあまり意味がないかもと思ったりしている。香水ではないが、それを背負って東京の地下鉄にでも乗ってみるか。背広とネクタイでビシッと決めて。その時まで男の香水の宣伝があったらいいのにと、変な期待がある。

2013/06/23


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