今日の午後、日本の年金、株価、その他のことを記者と話した。事細かな内容は覚えていないものの、一番はっきり覚えているのは、日本の株価は風任せ、他律的ということだ。
この5月下旬以降、日本の株価の上昇が止まった。何故なのか。ここが安値だと判断し、買えるのか。もしくは誰かが積極的に買うのか。
これらの問に答えるには、昨年来の日本の株価の上昇とは何だったのかを考えるのが一番である。実は、安倍ちゃんの登場の前に日本経済は回復過程に入っていた。アメリカが世界経済を引っ張り始めていたからである。また、アベノミクスとそれに呼応した日銀の政策により、日本経済の周回遅れが世界に明らかとなり、円が売られ、日本の主力企業の業績にプラスの影響をもたらすこととなった。これらが株価上昇の要因である。
つまり、風が吹いたから日本の株価という凧が飛んだにすぎない。逆に言えば、日本企業の経営や業績が自律的に好転したからではない。とすれば、風が止めば株価の上昇が止まってしまう。「日本の投資家が株を買わないのは何故だ」との批判もありうるが、日本の株式市場全体を(個別の魅力的な企業は別にして)積極的に買える状態にないのに、誰に買ってもらおうというのだろうか。
市場環境が多少悪化しても、企業の経営が様変わりした、これからの業績の持続的な向上が期待できると評価できるのなら、日経平均が2万円に突進してもおかしくないし、投資家も押し目をがんがん拾うだろう。しかし、現実はそこまで楽観的でない。
今日の夜、大手の革新的企業の財務の責任者と飲んでいた。そのときの意見では、日本企業の財務や株価に対する意識、ひいては経営の意識は依然として低いとのことだった。日本企業の意識を変えるには、投資家、とくにに年金の働きかけが重要だとも。企業経営の意識が低いのに、そんな企業の株式を誰が、目をつむって積極的に買えるのだろうか。
風任せでの株価上昇を願っても虚しいだけ、いつか元の木阿弥となる。この20年間の株価がそれだった。投資家はもちろん、企業も風依存ではなく、自律的に動かないといけない。そうでないと、「日本の株式なんて、どれもこれも買ってられない」となってしまう。
2013/08/21