2020年に東京でオリンピックが開催される。前回は昭和39年、1964年だから56年ぶり。大阪万博は1970年で43年前。いずれも高度成長の時代だった。今回のオリンピックに何を期待すればいいのか。
1964年は高度成長期ながら、日本経済が大人になる節目だった。OECDに日本が加盟したのはそのオリンピックの年であり、日本が正式に国際的に認められた。同時に、責任が課せられた。現在、TPPの交渉など日本の国際的な位置づけが問われている。この事実は、OECD加盟と重なるものがある。
とはいえ、1964年当時の日本の産業界は「欧米に乗っ取られる」ことを危惧、杞憂し、内向きとなった。親しい企業同士が株式持ち合いに走ったのである。今回は日本企業が内向きになることは許されないし、そうなれば自滅だろう。むしろ、グローバル化にもっと積極的にならないといけない。
もう一点、オリンピックが景気浮揚効果をもたらすと期待されている。早くも日経(ネット)は、経済波及効果3兆円と書いている。しかし注意しないといけないことがある。1964年当時、経済は少しだけ盛り上がったものの、大したことはなく、むしろ1965年にかけて不況になった事実である。また、1970年の万博では、3年後に第一次石油危機と日本の高度成長の終焉を迎えた。
大切なのは一時的なオリンピックの効果ではない。日本経済の本質がいかに変わったのかである。企業にとっては、時代に適合しているのかどうか(一歩先を行っているのか)である。
最後に、日本全体を見ていると幼稚化していると思えてならない。揉まれていない、周囲と自分との関係を客観的に見ることのできない大人が多すぎる。オリンピックだけは、その幼稚化を避けてほしいものだ。開幕にどういう演出をするのかはこれからだが、その場にゆるキャラばかり登場すること、テレビで放送局や司会者の価値観を視聴者に押しつけるなんてことは、見たくも聞きたくもない。
2013/09/08