「ビル林の4賢+1」の会の第3弾である。法人税率をゼロにすることが、いろんな困難を解決する究極の手段だとの議論に達した。ちまちまと数%下げたとして、世界的な競争に勝てるかどうか。
9/23に取り上げた復興特別法人税の前倒し廃止案に関する議論の続きでもある。それに関して、会では、9/20の日経1面の擁護論に対する手厳しい批判も出た(僕が言ったわけでない)。
その記事に他からも相当批判があったのか、9/29の日経3面の「けいざい解読」でも、「法人減税は企業優遇か 成長の果実、家計にも」の見出しで取り上げている。学者のコメントとして「企業の税・社会保障負担は家計に転嫁されている」も記事に取り入れられているが、1つはアメリカの合理的な企業をベースにしたコメントである。もう1つは日本企業に関するコメントと思えるが、出所が明らかでないし、十分な利益を上げていない日本企業の「負担転嫁」とは何なのか、ピンとこない。
いずれにせよ、効果のあまりはっきりしない数%の法人税の減税を主張するよりも、またいくつもの租税特別措置法を作って専門家以外理解できない「スパゲティー状態」の税体系にするよりも、法人税をゼロにするのがお勧めというのが会での結論である。ちなみに、国の2011年度決算において、法人税は9.4兆円、消費税10.2兆円、所得税13.5兆円の歳入である。法人税をゼロにしたところで、消費税5%分の影響もない。
もちろん、法人税をゼロにすればどこかで増税する必要がある。結局は所得税、消費税、相続税のいずれかだが、どこで増税するのかの議論の一致はなかった。
法人税をゼロにすれば、世界的な法人税率の引き下げ競争に終止符を打てる。(補助金を与えない限り)ゼロ未満に引き下げられないからである。世界が日本を見習えば、租税回避的な企業の国籍移転が消滅し、国際的な租税体系がすっきりしうる。
日本の場合では、赤字法人に典型的に見られるように、実質的なオーナーに多額の報酬を与え、もしくは個人的な支出を法人の経費とするような経理処理を税制的に無効にできる。そんな税金対策をやってもやらなくても、法人税はゼロで変化しないからである。言い換えれば、税の公平性を確保する上で多大な効果がある。
それに、蛇足というか余計つぶやきだが、今日の日経新聞が主張するように、また学者がコメントするように、法人税の軽減が結局のところ家計のメリットになるのであれば、「堂々とゼロを主張すればええやん」と思えてしまう。そんな主張をしないのは、彼らの法人税減税がもたらす効果の主張のどこかにやましさがあるのかも。
ところで、法人税がゼロになった場合、企業活動が本当に活性化するのかどうか。この点はもう一度議論したい。
2013/09/30