一昨日は東京で二人の話を聞いた。昼には教職員共済生活協同組合で年金や保険の資産運用を担当しているH氏、夕方には大手企業で財務担当執行役員をしているY氏である。まずはH氏から。
H氏は大手S信託銀行で勤め、投資業務に携わった後、教職員共済生活協同組合に転職したという。その転職の少し前に外部機関で(それも僕のよく知っているアセットマネジメント会社で)アナリストの経験を積んでいる。
教職員共済生活協同組合は元々、「教職員の助け合い」の精神から生命保険、年金、損害保険の事業を行う組織とのこと。現在、8000億円程度の運用資産があり(2012年度末で7831億円)、1000億円程度を株式投資に向けることが可能と聞いた(同時点で、内外株式で運用されている割合が全体の7.0%、為替リスクを取っている外債運用が1.9%)。
事業と決算概要:http://www.kyousyokuin.or.jp/guide/data/2012houkoku.pdf
現在の職場は日教組の影響が強いため、投資に対して特定の理念が成立しやすいとのこと。つまり、お題目ではない、長期的な実の期待できる投資である。
このことを現実的に考え、活かすとすれば、社会的責任投資(CSR)がぴったりする可能性が高い。社会に受け入れられる事業活動を行う企業を選別した投資である。そうすることで、下手な公的年金の投資よりも上を行くかもしれない。
ついでに書いておくと、地方では小学校、中学校の教職員の所得は金額とその安定性において上位2割もしくは3割の層を形成していて、投資信託をはじめとする金融商品の重要な販売先(すなわち蜜源)になっているとか。この実態に対し、営利機関ではない教職員組合が独自のファンドを設定し、その投資資金を投資信託の形態を用いて募れば、市場に大きなインパクトを与えるかもしれない。
2013/10/20