川北英隆のブログ

飲食店の品格2

前のブログと、最初は一緒に書こうとしていたことである。でも、一緒ではあまりにも可哀想というので、2部構成にしてみた。京都は南禅寺界隈、湯豆腐の有名店の話題である。
証券投資に関する膨大なデータとその分析で有名な米系会社の日本法人のトップを務めているY氏が京都に来た。以前から宿題になっている湯豆腐を食べたいとのことだった。
実は2年前、南禅寺のすぐ近くにある一番有名な湯豆腐店Jを予約していたらしいのだが、急病になり、ドタキャンしたとか。今回、その同じ店にチャレンジということで、僕も付き合うことにした。もう1人いたので、合計3人である。しかし、トラブルがあった。
まず、予約できなかったとのこと。Y氏は会席を予約しようとしたらしいのだが、満席だったらしい。ではと、少しランクを下げて湯豆腐にしようとしたところ、予約は受け付けていないと言われたらしい。
仕方ないので、滑り止めの店をあらかじめ決めておいてから、夕方、Jに急いだ。着くと空いていた。庭を通り、和室に通される。歩いていくといろんな部屋が見えるが、どの部屋もがらがらだった。「どうしたの」と拍子抜けし、「何故、予約が入らなかったの」と怪訝に思っていたところ、「今日は高校の修学旅行生が500名来るので」とのことだった。「どこに500名も入るの」と質問したところ、「250名ずつ、2回に分けて」、「つい先ほどまで、この部屋にも学生がいた」と。
確かに、仕切られた和室にしばらくいると、廊下をがやがやと学生が通っていった。「来たで、来た」と思っていると、30分程でもう一度がやがやし、学生が帰っていったようだ。「何を食べたのやろ」、「年寄りやあるまいし、湯豆腐を喜ぶとは到底思えへん」、「豆腐よりバーガーやとか叫んでるで」と、食べながらの話題にこと欠かなかった。
京都の旅館もそうなのだが、修学旅行を受け入れているところが多い。とくに大きな旅館はそうだ。湯豆腐のJも大きな店だから、大量にはける修学旅行生に目を付けたのだろう。しかし、これでは高級店からは脱落である。
その日の豆腐は、煮立つ前のものは美味かった。量が多すぎのように思うが。それはともかく、湯豆腐の味は悪くないのだから、立派な庭と料理の品位を落とすことないのにと、返すがえすも残念だった。

2013/10/31


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