東京証券取引所が日本経済新聞社と共同で開発したJPX日経400、公表から2ヵ月少しが経過した。その評価はどうなのか。断片的に議論する機会がいくつかあったので、それを述べておきたい。
JPX400に対して最初に聞いた評価は、利益率(ROE・株価収益率)を用いて指数採用企業を選別していることに対するものである。この評価とは、僕も同意見ながら、400も投資に値する企業が日本にあるのかというもの。400のすべてを調べたわけではないので、これからの課題だと思っているが、万年とは大袈裟ながら、中長期の平均的な利益率が資本コスト(借入金利と株式に対する投資家の期待収益率の加重平均値)を下回っている企業が相当数混じっている。平均的な利益率が資本コストを下回っているとは、長期的な観点から投資するに値しないことと同じ意味である。
この意見に関連して、採用企業を絞り切れていないのは、ROEに加えて時価総額を選別の基準にしたためとの評価もある。日本の大企業の利益率が悪すぎることの裏返しである。
もう1つの意見は、JPX400の過去に遡及した情報が少なすぎるというもの。年金が使おうとすれば10年以上の過去のデータが必要になる。今後、詳細なデータが提供されるのかもしれないものの、ざっと見た限りでは発表から2ヵ月経過した現時点でも、過去のデータが少なすぎる。
最後は、東証の公表資料を見ればわかるように(最初は僕自身、そこまで注意していなかったものの)、TOPIXが上昇過程に入れば、JPX400よりも上げ幅が大きいとの事実である。そもそも、JPX400の長期的な上げ幅はTOPIXを少し上回っているものの、大した上回り方ではない。それに加えて、上げ相場でTOPIXに負けてしまうのなら、「なーんだ」ということになりかねない。この点、日経平均株価の上昇率はJPX400よりも高い。しかも、2005年以降、ほぼ一貫してTOPIXを上回っている。どちらかと言えば、日経平均株価の魅力度の方がJPX400よりも高い。
東証はJPX400を必死で宣伝しているものの(HPの作り方でわかる)、本当に投資家に使われるのだろうか。蓋を開けてみないとわからない。
2013/12/17