今日の日経の1面トップ「国立大の利益 東大首位」にはあきれてひっくり返った。大学と利益が無縁なことを理解しているのか。大学の収支構造を理解しているか。噴飯未満である。
最後のほうに「大学は稼ぐことが目的ではない。だが経営力が高いほど教育・研究施設の充実に向けた投資もしやすくなり、大学の魅力度向上につながる」との文章も言い訳になっていないどころか、支離滅裂である。大学のみじめな実態を知らなすぎる。
まず、文章の主題がいつの間にか「収益」から「経営力」に変わっている。これは記事そのものに無理があった証拠であろう。記者が内々気づいて文章の主旨をあいまいにしたとしか考えられない。そうでないのなら、素直に「収益力」もしくは「収益力に基づく経営力」と書けばいいだけだ。
第二に、大学には、とくに国立大学には経営の自由度が乏しい。経営者(理事と学長)を擁護するわけではないが、それまでの国立大学を形式上、独立行政法人化したに等しい。そもそも大学自身は授業料さえ自由に決められない。アジアからの留学生が言っていたが、日本の大学・大学院の最大の魅力はきわめて学費が安いことである。それを聞いて、「でも施設も悪いやろ」と反論めかしたところ、「そうやな」との反応だった。極論すれば、安かろう悪かろうである。教員も悪いとは言わない(言えない)ものの、このままだといずれ悪くなってしまう。
第三に、大学の力を利益で測ろうなんて「アホ」でしかない。そもそも大学予算(少なくとも国立大学)は「収入のすべてを使う」ことで立てられる。余ったのは「たまたま」であり、さらに企業とは異なった会計制度だから、大学の剰余は、企業でいう利益とは似て非なるものである。
ということで、今日の一面トップの記事は「今日の新聞代を返せ」と言いたいくらいであり、紙やインクの無駄使い、地球環境の破壊以外の何物でもなかった。
2013/12/22