パソコンの背景に海外で撮った写真を使っている。動物バージョンか山バージョンである。それらを眺めながら作業していると、多くは能率が上がるのだが、たまに能率が落ちてしまう。
「また行きたいなあ」と思うからだ。
今、パソコンにはマダガスカルのワオキツネザルが登場し、昇ってきたばかりの太陽の日差しを腹いっぱいに受けている。マダガスカルのロッジ(島の南部、ベレンティ)で迎える夜明けはサルの活動で始まり、感動的だった。2回行ったが、2回とも新婚旅行の日本人と一緒だったのも、むべなるかなである。
そんなマダガスカル、今は治安が悪化しているらしい。貧しい国がますます貧しくなっているのだろう。広い国で道路も整備されていないから、行けていない場所がいっぱいある。もう一度できれば行きたいのにと思ってしまう。
海外旅行ノスタルジアの最たるものはキリマンジャロだった。ほぼ20年前か。麓での宿泊を入れて6泊で登ったが、その現実離れした、それでいて途中までのどかな山旅は素晴らしいの一言である。注意しておくと、頂上を目指す一日は厳しいが。
そんな旅行を終え、会社生活に戻った瞬間、現実が嫌になってしまう。山のポーターや料理人たちが、今もキリマンジャロの麓から頂上まで往復しているのだと思うと、再びその様を一緒に体験したいと思ったものだ。
そんなキリマンジャロ、10人少しのツアーだったが、頂上まで行ったのは僕とサブチーフガイドだけだった。一対一でガイドしてくれたから、4000メートルの小屋まで一気に戻ったとき、チップを渡した。
キリマンジャロへのノスタルジアが尾を引いているある日、そのガイドから手紙が届き、ノスタルジアを破った。手紙に曰く、「タンザニアは貧乏だから、チップをもう少し送ってほしい」と。当然、無視した。それからキリマンジャロには行っていない。できれば違う季節にもう一度行きたいとはぼちぼち思っているが。
2014/01/24