昨年12月の貿易収支統計が公表された。といっても、今週の月曜日のことだった。ドタバタしていて、その評価をブログにアップする時間がなかった。もちろん、自分用に数字だけは確認していた。
結果は新聞で報道されているとおり、大幅な輸出入差額の赤字が続いている。
もっとも、生の数字を見てとやかく言っても仕方ない。貿易額には季節性があるからだ。そこで、季節性を調整すると(財務省が計算してくれている)、12月は1.15兆円の赤字(輸入額の超過)だった。この赤字の傾向を見るため(というのも、季節調整したといっても、どこまで信頼を置いていいのか疑問だから)、3ヵ月の平均値を計算してみると、赤字幅の増加が続いていることが判明する。
この理由は単純で、円安に転じたにもかかわらず(海外から日本商品を見ると、買いやすい値段になっているにもかかわらず)、輸出の量が増えていないから。むしろ、昨年春に比べると少しだが減っている。このため、円安によって「円に換算した単価」が上昇したにもかかわらず、輸出金額(円ベース)の増え方が遅々としている。
一方、輸入の量は、円安によって価格が上昇している(日本にとって海外の商品が高くなっている)にもかかわらず、徐々にではあるが増加している。このため、「円に換算した単価」の上昇によって輸入金額が急速に増えている。
輸出金額を品目別に見ると、日本の主要輸出品だった電気機器(なかでも電子部品)が冴えないし、一般機械(電機機器や輸送用機器でない機械類)も大したことがない。自動車が何とか増えている程度である。
一方、輸入金額を品目別に見ると、鉱物性燃料(原油や天然ガス等)が増えているのは当然として、一般機械、電気機器、輸送用機器が大きく増加している。これら機械類の輸入金額はまだ鉱物性燃料と比較して大きくないものの(それでも現在は鉱物性燃料の64%に達している)、このまま増えると近々、追いつきそうである。かつて社会科で習った日本の貿易構造が大きく変化してしまっている。
この背景にあるのは、日本の製品の中から競争力のあるものが消滅しつつあることが大きい。競争力のあるのは部品や素材であり、完成品ではない。端的に言うと、日本企業の主力が世界の下請けとなりつつある。例外は自動車だけだが、その自動車の主要な生産拠点は日本ではなく、消費地に近い海外でしかない。
新聞も経済団体も「製造業日本」を持ち上げようとしているものの、その発想は間違っているとしか思えない。日本国内の人口が減少し、消費量も減っているのだから、製造拠点となりうるのは消費の中心である海外でしかない。日本が提供すべきはノウハウであり、広い意味でのサービスである。日本全体の、それを牽引しているお偉いオッちゃんらの(オバちゃんは少ない)発想が貧弱そのもの、一言で表現すれば「アホやん」としか思えない。グーグル、フェースブックの対抗勢力が日本に出現しないのも当然だろう。唯一の希望は、これまでのiPS細胞への投資をゼロクリアしそうな、理研のお姉ちゃんの非常識と思われた発想か。
結論である。過去の常識に凝り固まったお偉いオッちゃんは片隅に消えるべし。はちゃめちゃなお姉ちゃんらにエールを送る次第だ。
2014/02/01