モゴトン山がニカラグアとホンジュラスの国境にあることは2/3のブログで述べた。地雷が埋められた国境とのことだから、小さな車の通る道が通じているのかと、登る前には想像していた。
しかし、カメラを壊した沢の写真でも明らかなように、車の通る道など何もなかった。沢を抜けて尾根に上がると、細い道はあったものの、地元民でもたまにしか通らない踏跡程度のもの。それなのに、その踏跡に国境の標識があったのには驚いた。それも何箇所もある。それだけ重要な地域なのかもしれない。写真の国境の標識は添乗してもらった楠修氏からいただいたものである。
ニカラグアは戦前から独裁的な政治が続いていたが、1972年の大地震を契機として、79年にサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)による武装革命が生じた。これに対してアメリカ(レーガン大統領)が介入し、1980年代初頭から88年までニカラグアにおいて内戦が生じた。
現在のニカラグアの国旗は上から青、白、青の3つに塗り分けられ、真ん中の白地に小さな三角模様があしらわれている。これに対し、FSLNは独自に赤と黒の2色で塗り分けられた旗を持っている。赤は血、黒は死を意味しているとか。国旗以上によく見かける。
この内戦の時、アメリカの支援を受けた反FSLN武装組織が革命政権をホンジュラス側から攻めようとしたとのこと。この戦いに備えるため、ホンジュラスとニカラグアの国境に地雷が埋められたらしい。何故、モゴトン山が地雷の対象になったのかはよく分からないが、ゲリラ的な戦争だとすれば、当時の指揮者が一番険しそうな、そのため人目につかない山越えでの進軍がありうると考えたのかも。
そんなモゴトン山の踏み跡で熱帯雨林をかきわけ、靴やズボンを泥だらけにすると、当時のゲリラの気分が味わえる。地雷を誰も踏みはしなかったが。
2014/02/05