川北英隆のブログ

経常収支が示唆する日本の危機

昨年12月の国際収支統計が公表された。新聞などでは「2013年の経常収支の黒字、大幅減少」などとの見出しで報じられ、その裏にある12月の状況が少し隠れている。実は、12月が大問題なのだが。
証券系エコノミストの多くは経常収支の赤字が意味するところを直感的に理解しているのだろう。積極的にコメントしない。日本経済によくないことは、自己にとってもよろしくないから。一種のポジショントークである。
現実には、経常収支が赤字になれば由々しきことであり、その事実を直視し、投資すべきである。その日本の経常収支(季節性を調整した後の数値)は9月から4ヵ月連続して赤字となっている。今年1月の貿易収支も(10日ごとに速報値が公表されており)大幅な赤字がほぼ間違いないようだから、どうも経常収支の赤字化は日本経済の実力と思えるようになってきている。
某雑誌のニュース(無記名)向けに書いた原稿から引用しておきたい。
「経常収支の黒字幅の縮減は、日本国を1つの会社にたとえれば、その経済活動によって生み出される黒字の縮小を意味する。昨年9月以降の経常収支の赤字が定着するのなら、日本国の経済活動が全体として赤字化することになる。」
「経常収支の赤字を別の角度から見ると、海外からのファイナンス(資金供給)がなければ、日本国としての資金繰りの難易度が増す。」
「現在のところ、2013年には海外から、株式市場を中心に豊富な資金が流入したため、資本収支は4.6兆円の黒字となっている。この結果、日本国としての資金繰りの問題は生じていない。とはいえ、今後について、経常収支の動向から目が離せないのも確かである。」

2014/02/10


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