物価の上昇が話題に上るようになった。多くは円安に伴う輸入原材料や商品価格の上昇であり、これに震災復興事業の進行や消費税率引き上げに対する駆け込み需要が加わっている。
物価上昇の今後については不透明である。とくに消費税の引き上げが景気に対して悪影響をもたらしうる。需要の減退によって物価上昇の勢いが止まり、再びデフレ状態に陥るリスクを指摘することも可能である。とはいえ、いろんな民間調査機関によると、今後とも物価の上昇が続くとの予測が有力である。
では、民間調査機関の予測が当たり、物価上昇が続くのであれば、どのような投資戦略が有力となるのか。
この点、望ましくない投資対象として国債が真っ先に挙げないといけない。何故、国債が望ましくないのか。この理由は、国債の金利水準(現在0.6%程度)が低すぎるからである。たとえば、日銀が目指している2%の物価上昇があればどうなるのだろうか。現在の100万円の価値が、1年後には98万円程度にまで下がってしまう。現在100万円の値段の品物が、1年後には102万円になっているからである。1年後、100万円の価値が100万円のままであるためには、2%の金利が必要である。
ということで、0.6%の金利しかつかない国債に投資し、保有するのは「アホ」ということになるのだが、現実にはそうはなっていない。
この「アホ」なことが生じている理由は2つある。1つは、「アホ」な投資家がワンサカいるからである。「アホ」とわかっていても「アホ」をやれと規制当局から指示されている場合もあるだろう。もう1つは、日銀がしこたま買っているからである。
日銀が買うから金利は上がらないとの予想もある。日銀の行動によって金利が上がらないから、国債を保有していてもいいだろうと判断している投資家もいる。八百長を八百長だと言ってそっぽを向いてしまうと、「白けたやつ」と白い目で見られるのに似ている。
こんな「アホ」な状況がいつまで続くのだろうか。それは分からない。しかし、国債に投資するよりもまともな投資対象があるのなら、こつこつとそれに投資するのが良策である。そんな投資対象がどこにあるのか、次に考えてみたい。
2014/02/18