遅ればせながら、1月の貿易統計を分析しておく。1月は輸出入の差額が2.8兆円の輸入超過に達した月である。1月の輸出が季節的に少ないことを考慮したとしても、1.8兆円の輸入超過だった。
さらに今年の1月の輸出は、中国の旧正月の影響もあり減少した。このため、季節性を機械的に調整した輸入超過額をそのまま信じることはできない。加えて、4月からの消費税率アップの前にした駆け込み需要に伴う輸入増もあった。
1月の輸出に関して確認すると、中国向けの数量が大幅に減っているのは春節の影響がある。とはいえ、アメリカ向けも中国向けとほぼ同じ程度に減っている。春節の影響だけを強調するのには無理があるかもしれない。
一方、円ベースでの輸出価格(単価)は前年と比べて9.7%の上昇である。この間の円安の度合(2割以上の円安)からすると、約1割の輸出価格上昇は大したことがない。先日の大機小機に「日本企業は、円安に対してドルベースの価格を下げずに対応している(このため円ベースの手取額が増大する)」との主旨の議論が展開されていたが、1月までの貿易統計から判断するかぎり、その議論は半分正しく、半分正しくないだろう。
輸入数量は大きく増加している。輸入価格も前年比で16%上昇している。このため、輸入額の増加は前年比24%増えている。輸出金額の増加率を大きく上回っていることになる。
では、この輸入の増加が消費税率アップを見越した駆け込みかといえば、必ずしもそうとは思えない。というのも、値の張る機械類の輸入額と燃料輸入額との比率を計算してみると、極端に増えているようには見えないからである。
結論を示せば、どうも輸入は増えるべくして増え、輸出がなかなか増えない構造が日本経済に定着したように思える。つまり、これまでの分析とそこからの結論を変える必要性を1月の貿易統計からは見出せなかった。
2014/03/01