川北英隆のブログ

酒に見る中国のバブル

「好きな酒は」と問われれば、その日の気分によって違った答えをしたい。でも一応は「ビール」と答えている。そんな中、安い高粱酒を飲む機会があった。高粱酒の一種が有名な茅台酒である。
中国において高粱酒は非常に高級な酒になっている。以前にも書いたが、かつて五粮液は茅台よりもはるかに安くて同じくらい良い味がしたから、F氏との中国旅行でよく飲んだものだ。それが現在どうなっているのかというと、ネットで調べたところ、500mlで1万円以上する。貴州茅台酒も同じ程度だ。現地では安いのかというと、そうでもなかった記憶がある。
ところが、たまたま飲んだ金門高粱酒(台湾産)は1000円程度でしかない(ネットではもっと高いので、「インチキやん」と思うが)。それで「味はどや」というと、高級高粱酒と大きな差ない。独特の香りが弱いかなとは思うが。まがい物があるかもしれない中国産と比べると、台湾産には安心感があるから、その分だけ香りの薄いのは許せるかもしれない。
それで、ほぼ同じ時期にスコッチの地酒を買った。マイナーな醸造元の酒を統一の瓶に詰め、ラベルの名前だけを変えて売っている。それが実に美味い。値段も数千円である。えらく高くなった著名な高粱酒を飲むのは名誉欲がかかっている。一方、スコッチには実利がかかっている。いずれにしろ酒好きからすると、中国の贈答用に使われる高粱酒はバブル的値段だと思う。自分で買って飲む意欲は皆無に近い。でも、飲んだら天国に昇るような香りだが。(飲むのか、飲まないのか、どっちやねん。)
その美味いスコッチは意外に安いから、ガバガバ飲んで身体を壊すかもしれない。酒の飲めない、しかし「味はわかる」と豪語しているカミさんがそう言っていた。

2014/03/02


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