普通、帰りは日没過ぎだ。日が長くなり、「腹減った」との感覚も時間的に先送りになる。そんな今日、日没直後に研究室を出た。西の山の端はまだ橙色に輝き、深い紺碧の空に爪のような月があった。
調べると新月から2日目の月なので、三日月よりも細い。その細い月、陰の部分にうっすらと輪郭が見える。周りの深い紺碧の空とは少し色合いが異なり、まるで透明な曇り硝子のよう。月から見ると地球が明るく輝き、その地球の光が月の陰の部分をほんのうっすらと照らしているに違いない。
森の中、テントや山小屋に泊まり、その夜中にトイレに行くことがある。山小屋やテントでの眠りは、睡眠上手の僕にとっても難しいものがある。寝相の悪いものにとってシュラフが狭すぎるのか。
それはともあれ、途中で目が覚め、仕方ないからトイレに行く。と、木の間から星がこぼれ落ちている。運が良ければ、流れ星が飛んだり、人工衛星がゆっくりと天空を横切ったりする。最近見たのは、大きな木の上で光る2つの玉である。正確に何者かはわからないが、動物が木の上にいて、こちらを眺めているのは確かだ。だから、その目玉が光る。見たのは赤い光である。多分。というのも、寝ぼけ眼だったので、きちんと覚えていない。
夜中の森の中は気持ち良くないものの、街中よりはましかもしれない。大きな動物がいないと事前にわかっていればのことだが。
2014/03/03