川北英隆のブログ

弱小国家ロシア

「危ない国はいつも同じ」で書いたように、ロシアには経済的な前科というか、弱点がある。1998年8月に「対外債務の90日間支払停止」が行われた。まさにデフォルトである。
ロシアの経済は非常に偏っているとの印象を受ける。ロシアはカムチャツカに行っただけであり、よく知らない。とはいえ、製造業の発達は悪く、サービス業は最悪に近い。そもそも社会主義だったことから、サービスという概念がないのではと思う。で、発達しているのはガスや石油の鉱業である。
付け加えると、ロシアは人口の減少国である。平均寿命が短い。酒の飲み過ぎと言われているが、よくわからない。また、社会主義だった時代が長すぎたから、農業、物作り、サービスのノウハウがすっかり消滅したとも評されている。人口が減り、インフレの時代がはるか昔になりつつある日本にとって、ロシア経済は他人事ではない。それはともかく、そんな国、ロシアだから、経済力が高まるにはほど遠い。
社会主義の最大の成果は軍事力だろう。論理的な帰結ではないが、現実には「社会主義=権力の集中=軍事力の強化」であり、一般に社会主義国家に共通している。権力集中だから、「ワシは偉いのや」と国民に見せつける必要があるのだろうか。ウクライナに対して高圧的なのも、この軍事力のおかげである。
とはいえ、経済力も現在の国家にとって重要な武器である。ウクライナ情勢が不安定化するのと同時に、ロシア経済は市場経済の猛攻撃を受けた。通貨ルーブル、株価、債券価格の急落である。
ロシアはクリミア半島を編入できるかもしれない。しかし、経済的な富を相当犠牲にしてしまった。今後も、1998年のデフォルト、今回の強硬手段と、ロシアに対する投資価値の急落の記憶は市場関係者の脳裏にしっかりと記憶された。経済としてのロシアの発展はますます難しくなったのではないか。

2014/03/06


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