川北英隆のブログ

台湾の山岳と桧

台湾を最初に訪問した時に思ったのは、「島全体が山岳」ということだった。もちろん台湾にも平野がある。とくに島の西側に広がっているが、その平野を横切る沢に大きな石がごろごろしている。
つまり沢が荒れているわけだ。というのも、大雨が降れば、降った雨水が一気に平野へ、海へと流れる、ついでに大きな石が平野まで押し流される。こういう現象が台湾では頻繁に起こっているようだ。
少し見方を変えると、台湾は大雨の降る島である。台風の接近、上陸も多い。また、山が高いため、沢は急傾斜を下り落ちる。実際、台湾にはほぼ4000メートルに達する高峰(玉山、雪山)があり、3000メートル以上の山であれば200を超えるとある(林淵霖『五嶽三尖一奇』)。かつ山脈が基本は1つしかなく、沢の構造が比較的単純でほぼ東西に流れている。だから、平野に流れ込むどの沢にも、山から転がってきた大きな石がごろごろしているのが実態ということである。
そんな山岳の島だから、魅力的な山が多い。また、平地は亜熱帯に属し、山岳地域は温帯であり、4000メートルに近づくと高山植物帯、岩稜帯になる。表現を変えると、日本アルプスとくらべて台湾の山は500メートルばかり高いが、山全体の雰囲気は南アルプスに似ている。
玉山に登った頃は森林の研究?をしていた。このため、台湾の山に大きな桧があると知っていたが、実際に見た姿は感動的だった。戦前、日本は台湾の桧の大木を寺社用に伐採していた。
屋久島の杉もそうだったし、エジプトやメソポタミアもそうだったが、木材は重要な資源として使い尽くされる運命にあった。しかし、台湾や屋久島にはまだ大木が残っている。急峻な山岳が枯渇を防いだのだろう。

2014/03/13


トップへ戻る