アメリカでは超金融緩和、いわゆるQW3が終わろうとしている。テーパリング(tapering)と呼ばれる金融政策である。早いうちに政策金利も引き上げられるとの懸念から、株価の頭が抑えられている。
この現象をとらえ、「金利の上昇は株価の下落の要因となる」と解説されることが多い。しかし、これは誤りであるか、極めて不正確な解釈である。以前にこのブログで書いたことがあるように思うし、いろんなところで説明しているのだが、金利と株価の関係について、もう一度繰り返しておきたい。
そもそもそ金利の上昇とは何なのか。その水準が極端に高くないのなら、企業が積極的に活動していること、経済に活力のあることの反映である。そうであるのなら、企業の利益水準も高く、それを反映して株価(正確には、その上昇率)も高いはずである。かつての高度成長期の日本を振り返っても、金利水準が高いことと、株高とが共存していた。
ということで、今後のアメリカの金利水準が高くなり、現在の異常な状態から脱することは非常に喜ばしいはずである。では、何故、市場関係者は金利上昇を嫌うのか。
ここで疑問に思わないといけないのは、ここでの金利上昇の定義が何なのかである。また、企業の収益率と比べて、その水準が高いのか低いのかである。投資家にとって、いつまでも金利水準がゼロ近辺で続いてくれるに越したことはない。バブルが形成され、その渦中にいることが望ましわけだ。短期的に市場の評価をする投資家は、そんなバブルを期待しているのだろう。
でも、そんな夢物語がいつまでも続くわけがない。株価がバブル的に一気に上がらなくても、徐々に上がれば、その方が望ましいこととなる。実のところ、中央銀行が狙うのはこれである。
株価は経済実態と期待を反映して形成される。アメリカの株価が上昇してきたのは、少し先の明るい経済に対する期待を反映してきたからである。一方で金融政策はこの株価形成よりも遅れ、経済の実態を反映してきた。今の時点では、この経済実態の反映において、金融政策が株価形成に追いつこうとしている。だから、金融政策に追いつかれた株価形成が慌てている。この結果、株価の頭が抑えられたように感じられる。
今後のアメリカの株価は、経済実態が株式市場の期待以上に明るくなるかどうかにかかっている。世界的な政治環境が不透明であるから、将来への期待が一筋縄ではいかないと考えておきたいと思う。
2014/03/22