川北英隆のブログ

日本の株価が下落する理由

東京での会議の合間、雑談していると、「何故、最近の日本の株価が冴えないのか」が話題となった。日本の機関投資家(年金や生保をイメージしているのかも)が積極的でないからとの意見が出た。
昨日、日経平均株価が年初の最安値に達した日だったため、そんな議論になったのだろう。
で、一応、その意見に対して「それはそう」、「でもね」と言っておいた。以下はその要点であり、多少意見を付加してある。
機関投資家がだらしないとの感想は、そのとおりである。とはいえ、機関投資家に関して、この結論だけでは議論としては不十分だろう。言わなかったが、だらしない(自信のない、投資力のない、もしくは能力のない)投資家がたくさんいて、東証株価指数を追いかけているからでもあるのだが。また、腐った、腐りかけた商品を陳列している証券取引所も悪いのだが。
それはともあれ主張しておいたのは、「上場企業に、これといった、株式市場全体をけん引する企業がないのでは」とのことである。トヨタは立派な会社だが、残念ながら成熟産業に属す。そうかといってトヨタ以外の「市場を代表する企業」、「世界を代表する企業」があるのだろうか。つまり、かつてのソニーや松下電産(現在のパナソニック)に代わる企業がいないのでは。もちろん、原材料や部品メーカーに世界的な企業はあるのだが、個人が日々接する企業から、企業本来の力、ダイナミズムが消失している。
言い換えると、収益力が秀でていて、世界を主導でき、誰も無視できない企業が日本から消えてしまっている。むしろ日本企業が他の国、多くはアメリカ企業の余波を受けるだけの立場に置かれてしまった。「原材料や部品メーカーに世界的な企業はある」とは書いたが、これらの企業が典型だろう。自らが道を切り開けるわけでない。たとえば、アップルの影響を常に受ける立場にあり、もしくはアメリカの景気の影響をもろに受ける。
以上から、アメリカ株が下げれば日本はそれを増幅して下がることが多いし、「アメリカ株が上がっても日本株の上がらない日が目立つ」(他の参加者の発言)。加えて昨年との差として念頭に置いておかないといけないのは、PER(株価/収益率)で欧米と比較して、日本の株の割安感は消えている。
だから、アメリカ株が史上最高値に達し、波乱含みである現在、残念ながら日本株だけの力では上を目指せないのである。証券会社系の兄ちゃんらの(この株の世界に何故姉ちゃんが皆無に近いのかは不思議かな)、「力強い」相場見通しにもかかわらず。

2014/04/12


トップへ戻る