川北英隆のブログ

日銀の金融緩和の行き着く先

昨日、日銀の金融緩和政策に関してセミナーが開催され、パネルの司会を務めた。それで現在、金融政策に関する最大の関心事項といえば、新たに追加緩和が実施されるのかどうかだろう。
この質問に関して、パネラーの答えは概ね「実施される」というものだった。もっとも、その時期は異なっていたが。
では、ここが肝心なのだが、その追加緩和の効果はあるのだろうか。また、追加緩和策として何が実行に移されるだろうか。
そもそも、この1年間、黒田総裁による量的・質的金融緩和の効果はどの程度のものだったのか。パネリストは4人、そのうち1人は「効果があった」との返答だったが、残りの3人は「なかった」というもの。効果がなかったとの結論は、黒田総裁の緩和は、世界経済に対する日本経済の反応を加速させたに過ぎないとの評価に由来している。多数決で決まる性質のものではないが、これが専門家の認識である。
僕自身も、実は「効果がなかった」と思っている。もっとも、「効果があった」とのパネリストは唯一の女性だったので、僕自身の見解は最後まで述べないでおいたが。
もう1点、追加金融緩和が実施されるとすれば、その方法は何なのか。これに関する有力な方法は。その答えは、これまでも実施してきたETF購入だった。要するに株価対策であり、それによって国内の気分を盛り上げようとの意図である。しかし、株式を購入して株価を上げる対策は株価操作でしかない。投資家を惑わすとしか思えない。実のところ、同じ思いはパネリストからも聞かれた。
以上の他、最悪のケースとして、日銀の金融政策が破綻し、大幅な円安と金利高騰の危機が間近に迫っているとの発言はなかった。一方、「何が起きるのか完全に予想できれば、異常時の発生に対して不安を感じることもない」、「しかし、不安は残る」との主旨の発言がパネリストからあったと、伝えておくべきだろう。言い換えれば、大幅な円安と金利高騰の状況が来ることを頭の片隅において行動することが重要だと、パネリストの発言から結論することができる。

2014/04/19


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