七曲峠から下りながら南に稜線をたどる道を探した。しかし、それらしき道はなかった。そもそも七曲峠に十分満足したため、真剣でもなかったし。峠からの道は名阪、現代の伊勢街道をくぐる。
下りながら勘違いしていたのは、下りきると天理市に入り、JRの櫟本駅に着くのではとのイメージである。途中、相当下ったところで南椿尾の地名が出てきた。そこで、「ひょっとして」と思い、もう一度地図を見直したところ、「今歩いているのは虚空蔵山に出る道や」と気づいた。かつて、高校時代か大学に入ってすぐの頃だったと思うが、いとこや妹と晩秋に歩いた道だと思い出した。当時、枯れ葉が北風に舞っていた。「今は、時が流れ、その枯れ葉が新緑になった」と、時間の流れが逆流したように感じた。
虚空蔵山(182メートル)の麓には十三参りで有名な弘仁寺がある。これも数え年だったか、十三歳になった春、親戚のお婆ちゃんに連れられて参った記憶がある。どんなお祓いがあったのかはまったく記憶にないが。
勘違いで虚空蔵山に向かったのも何かの導きと思い、久しぶりに弘仁寺の境内に入った。丑と寅の神様でもあるので、大枚お賽銭をあげて拝んだ。
その後、虚空蔵山の頂上に登った。といっても大したことはない。ただ、かつての頂上部は広場になっていたのだが、今はその広場に灌木が生え、荒れていた。残念である。お賽銭を活用して欲しいと思ったものの、そんな大それた金額でもなかったか。
虚空蔵山から、登山口だった高樋まではすぐである。高樋では行商をしている従兄弟を見かけたようにも思ったが、急いでいたので、話しをするのはまたの機会としてしまった。
写真はその弘仁寺の本堂である。寅の額がかかっている。向かって右側には丑の額もある。
2014/05/13