川北英隆のブログ

グローバル目線が投資家に欠如

昨日の続き。野村総研の堀江さんと話していてもう1つ面白かったのは、日本の株式投資家にグローバルな目線が欠如していると盛り上がったこと。プロと称される投資家が日本市場しか見ていない。
これでは、グローバル性のない日本の政治家に「日本株を上げようと熱心な奴や、天晴れ、天晴れ」と、扇子をあおいで褒められるだけかな。肝心のエクセレントな企業からは「アホやなあ、まるで素人やん」と相手にされないこと請け合いだ。
農中信託が言っていたが、出張してアメリカの大企業を訪問すると、「日本の投資家が来るのは珍しい」と歓待されるそうだ。それだけ、日本人にとって海外企業は無人の荒野というわけ。また、堀江さんの言によると、日本のエクセレントな企業のトップに会うにはロンドンに行かないとダメだとか。そんな日本企業は海外の投資家しか相手にしていないものの、ロンドンでは「ええっ、日本の投資家か、でもしゃあないな」と、ついでに会ってくれるということだろう。
1980年代のような「日本企業でなければ企業にあらず」の時代はとうの昔に終わった。むしろ、その後の20年間、日本企業の多くは井の中の蛙となってしまった。とはいえ、世界を見据えた企業はいくつか存在するし、その中からエクセレントな日本企業が生まれた。今ようやく、多くの日本企業も「井の中の蛙」状態に気づき、海外を志向している。5/21に書いた海外直接投資の増大が、まさに日本の企業の潮流を象徴している。
この日本企業の動きに対して半周遅れているのが日本のプロと称される投資家であり、さらにもう半周遅れているのが証券業界とマスコミだろう。政治家の株に対する感覚は多くの場合、論外である。
川北ゼミから何人かの卒業生がアセットマネジメント会社、すなわち日本のプロと称される投資家に就職した。彼/彼女らに言いたいのは、日本企業を分析するにしても、グローバルな目線から(海外の同業他社の情報をネットで調べ、できれば出張して現地調査し)投資の是非を評価しろということである。
ついでに言うと、日本の個人投資家もプロとほぼ同じ地点に立っている。だから、少し頑張って調べれば、すぐさま日本の中ではトップ集団になれる。ネットで取引すれば海外株の投資コストも安い。是非ともプロを出し抜いてもらいたいものだ。

2014/05/23


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